ペイントビズ(PAINTBIZ)

ツールジャパン取材 塗料編

塗料ベンチャー各社の展示と農業系へのアプローチ

様々なプロ用ツールの展示会「第12回ツールジャパン」が、2022年10月12日~14日幕張メッセで開催された。

ペイントビズでは建築塗装関連のメーカーや、工事関連商品をピックアップ。
少量だが塗料も出展していたので、今回は塗料編として塗料ベンチャー系3社と他2社を紹介したい。

NURUCON コンクリ化粧塗料

トップバッターは商品名「NURUCON」(ヌルコン)。コンクリ基材を用いた水性コンクリート用塗料。
本社、工場共に宮城を拠点とする株式会社タイハクが販売。本業はコンクリートを扱う事業者だ。つまり生コン屋さんだ。


タイハクの佐藤専務曰く「生コン打設後の表面の色むらを解消するために、自社でコンクリ塗料を開発。」
「過去に色むらが原因で新規に打ったコンクリを取り壊し、再度打ち直した経験から化粧材として作りました。」とのこと。

セメントは通常、水との化学反応で「水和反応」が起き、その結果硬化する。
ヌルコンは水和反応が終わったコンクリートを基材としている。


少し分かりにくいが写真、斜め右下部分が塗装後の質感だ。
塗料の状態はかなりサラサラで、顔料となるコンクリ基材が底に沈殿している。
ミキサーを使えば簡単に混ざるが、直ぐに沈殿する。バケットで混ぜながら塗っていく感じだろう。

この塗料の特徴は模様付けを行わなくても、塗り重ねることで自然にコンクリ模様になることだ。
例えば海綿を使ったり、スポンジなどで意図的に打ち放しコンクリート風模様を作らなくても、小さなマダラ模様になる。

粘度がサラサラのため、隠ぺい力は良いとはいえない。そのため、2回以上の塗り重ねが仕様として定められている。
また、下地の劣化状況なども影響してくるため、それ以上になる場合もある。

しかし、若干透けるからこそ、重ね塗りでコンクリの自然な質感が生まれるようだ。

現在、色のラインナップはグレー(コンクリ色)と白のみ。
展示会のサンプルにはカラバリもあり、今後多色展開も考えているとのこと。

2022年10月現在の販売方法はAmazonに出品しており、今後はBtoB(塗料販売店への卸)も考慮したいと佐藤専務はいう。

荷姿は2Lのボトルタイプと15Lのプラペール缶。
濃度の種類があり、通常タイプと高濃度タイプとがある。

NURUCONコンクリート化粧剤ヌルコン (2L, グレー)

NURUCONコンクリート化粧剤ヌルコン (2L, ホワイト)

NURUCONコンクリート化粧剤ヌルコン 15L高濃度タイプ (グレー)

NURUCONコンクリート化粧剤ヌルコン (15L, ホワイト) (白)


しっくいペイント 漆喰塗料

続いて紹介するのは、福岡に本社がある株式会社COOOL(クール)
こちらの会社が販売するのはしっくいペイント

アレスシックイで漆喰塗料がメジャーになり、現在では様々な会社から漆喰系塗料が発売されている。
漆喰はアルカリ性のため、抗菌・抗ウイルスの性能を持ち、更には消臭・調湿や防カビなどの機能もある。
同社ではその機能をうたい、安心・安全な塗料を販売。


荷姿はペール缶で1本の価格が3種の色調毎に違うものの、1本35,200円~

しっくいペイント(珊瑚ホワイト)
¥35,200(税込)
しっくいペイント(モルタルグレー)
¥36,124(税込)
しっくいペイント(珊瑚ピンク)
¥36,124(税込)

しっくいペイント専用カラートナーが3色(White/Mortar Gray/Smoky Pink)を準備しており、トナーの組み合わせや使用する本数を変えることで、オリジナルカラーを作ることが可能。

「漆喰の特性上、色が濃くなるほど色ムラが出やすくなるため、施工業者と事前に確認の上ご対応ください。」とのことだ。

直販サイトからの購入ができる。


珪藻土塗料 K-PAINT

株式会社ワンウィルが製造し、株式会社アイシンクが販売代理を行う、ケイソウくんシリーズのK-PAINT。珪藻土の塗料を展示していた。

ワンウィルのサイトを見ると、ケイソウクンシリーズが1997年にスタートしている事から結構商品の経歴として長期の年数になる。
珪藻土塗料もメジャーになり市民権を得ているものの、DIYが主体で何故か塗装工事の業者内では取り扱いが少ないように感じる。

荷姿は1.5kgと5kg、価格は6930(税込)~18480(税込)


 

 

ツールジャパン隣のエリアで、同時開催の第12回農業Weekに出展していた塗料メーカー・塗料会社を紹介したい。

ローバル
塗料メーカは1社のみで、防食塗料のローバルが出展していた。

農業系をターゲットに、畜舎や肥料小屋のさび止めなどを展示。
農業関連の出展は今回が初めてだという。来賓の様子を聞くと「既に使ってますよ」という嬉しい声があったという。

また昨今、ZAM鋼板の普及に伴い、ZAM関連の塗料の出品を行っていた。


湧蒼塗装研究所

最後に紹介するのが、新潟県に本社を構える株式会社湧蒼(わくそう)塗装研究所。塗装工事会社として今回唯一、第12回農業Weekに出展していた。

特徴としてこちらの塗装会社は、畜舎や飼料タンクを専門として塗装を請負う。
アトミクスとの共同開発の遮熱塗料を商品とし、自社職人で日本全国の酪農関連の塗装を行っているとのことだ。

塗装工事業界にこういった業態があったとは、展示会に来ると色々な発見ができる。


以上がツールジャパンに出展していた塗料・塗装会社だ。

不思議な事に、塗料ベンチャー系はどの会社の製品もプラペール缶。DIYを対象にすると、プラペール缶の方が良いのだろうか。

また塗料ベンチャー各社は、一般的な塗料メーカーが発行するA4サイズのカタログが無く、F☆☆☆☆の取得やSDSも用意しているのかどうかも微妙だ。
DIYターゲットだとそういう仕様になるのか、不思議な感じがした。
以上がツールジャパンで見つけた塗料・塗装関連企業だ。

次回は塗装関連の道具編をお送りしたい。こちらも面白い商品が多く、中でもカー用品で脚立専用キャリアなんていう代物も発見。
楽しみに待っていてほしい。

©︎PaintBiz By 二見勇治

二見勇治

著者:二見勇治 Futami Yuji

建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。