ペイントビズ(PAINTBIZ)

2023年4月《大阪マルテー祭レポート》前日編

大阪マルテー祭へ前日入り

2023年4月1日、2日、インテックス大阪で開催された”大阪マルテー祭”第43回マルテー刷毛・ローラー・塗装機器総合展示会の現地レポートを、《大阪マルテー祭レポート》として4回に分け、ペイントビズの独自視点で記事化を行い、今回の第1回目《大阪マルテー祭レポート》前日編をお届けする。

前回の大阪マルテー祭は2014年3月8日、9日に開催された。
今回のマルテー祭は大阪の地で9年ぶりの催し。
東京マルテー祭が2019年4月13日、14日に幕張メッセで開かれているから、マルテー祭としては4年ぶりというわけだ。

そのためペイントビズでは開催日の朝イチから会場入りを目指し、前日の3月31日から東京を出発し大阪へ向かった。

午前9時37分品川発の博多行き、のぞみ21号。新大阪の到着はジャスト昼の12時。

写真を撮っていると、春の新幹線のホームには様々な別れがあった。出発列車を待つ間に、何組か仲間の見送りなど感動的な場面に出くわし、見ている側も目頭が熱くなる。
年を取るに連れて、涙脆くなるのは何故だろう…

そうだ!水分の補給をしなければ。

新幹線の乗車にともない、水分補給。
しかし乗車が待ちきれず、ホームで半分ほど飲み干してしまう…
ダメだ!これじゃ新大阪に着く頃には出来上がっちゃう。

もう一本買おうという気持ちを抑え、新幹線に乗車。
因みに新幹線の車体の塗料は大日本、若しくはニッペ。連結部分の幌はターナーのラバーペイント(過去記事)だ。

大阪到着をシラフで迎えるため、追加の1本はやめて、座席に着くと静かに目を閉じた。

筆者が夢見心地でいる間に、マルテー祭について少々解説を行いたい。

さて、「マルテー祭とは?」という、最も初歩的な部分からはじめよう。

先ずは”マルテー祭”の読み方。
「マルテーさい」では無く、「マルテーまつり」と発音する。

筆者も長年間違っていたのだが、大塚刷毛の関係者や会場のアナウンスでは「マルテーまつり」と言っており、「祭=さい」ではなく「祭=まつり」が正式な呼称だ。

次にマルテー祭の主旨としては、大塚刷毛製造株式会社が刷毛・ローラー・塗装用具の国内トップメーカーとしてのポジションと、国内最大規模の塗装関連商品の商社として、建築塗装・工業塗装・自動車補修の事業者へ「塗装のプロ」のみに販売する即売会だ。

では何をもって“塗装のプロなのか?”という定義が次の解説になる。

大塚刷毛には「マルテー特約販売店」という全国の”塗料・塗装用品の専門店”との取引をおこなっている。
この塗料・塗装用品販売の店舗・会社と口座取引を行っている塗装工事会社や自動車補修・工業製品塗装の事業者(個人事業主も含まる)を指してプロという事だ。

しかもマルテー祭の会場での購入は、現金もクレジットカードも必要なく、”マルテー特約販売店の店名”と”塗装会社の社名・屋号”のみで、会場で商品の注文購入が出来、後日購入した商品が配達される。
今回はQRコードでマルテー特約販売店と塗装事業者とが紐付いている。

そしてこの即売会の最大の特徴は、通常販売されている価格からは考えられないくらいに「破格でリーズナブルなプライス」でプロ向け塗装関連用品の購入ができる事に尽きる。

しかも今まで気がつかなかった製品や商品を直に触れ、それらを導入(購入)することで作業効率が上がったり、工数が減らせたりと塗装作業の短縮化も可能になる超有益な展示即売会だ。

次にマルテー祭の開催されるスパンだが、東京では4年に一度が慣習になっており、大阪では今回の2023年(大阪開催では9年ぶり)・2014年(大阪開催では11年ぶり)・2003年と約10年に一度の開催だ。また、他の都道府県では2013年4月に大塚刷毛製造の創業100周年記念”東北マルテー祭”が宮城県仙台市でも開催された。

地域毎に4年、10年という間が開く大型の催しが「マルテー祭」。

それに対して、毎年各地で小規模の展示即売会が行われ、コレをマルテーフェアと言い、2020年からのコロナ情勢で様々なビジネスショーが中止になった事と同じく、大塚刷毛も2020年初頭から2022年9月までマルテーフェアの開催が不可能になってしまった。

そして迎えた今回の大型展示即売会のマルテー祭。
塗装関係者なら「待ってました!」と、言わんがばかりのビッグイベントが到来した!

因みに、大塚刷毛は1914年創業のため、来年の2024年は創立110周年の年にあたる。

筆者の予想としては5年ぶりの東京開催か?若しくは他の都道府県で”110周年記念マルテー祭”が開催されるだろう。

と、いう夢を見て、気がつけば浜名湖の手前。

新幹線は今切口の浜名湖大橋を快走していた。

ここは大義には汽水と言われているものの、殆ど海と言って良いほど塩分濃度が高く、距離が長くて鉄橋と海までは数メートルしかない(干満で変わる)。
新幹線全区間で唯一、海の上を走る路線と言っていいだろう。この区間には凄まじいサビ対策が施されている事が想像できる。

そんなこんなを考えながら、また少し眠り、気がつけば新大阪に到着。


新大阪では在来線への乗り換えでエスカレーターに立つと、東京とは左右逆の立ち居地に困惑しながら大阪を実感。
大阪駅へは一駅、ちょうど昼メシどきだ。
梅田で昼食にしようと、気分は「孤独のグルメ」か?という感じで、超盛り上がってきた!

大阪駅の御堂筋口から外へ出ると阪急うめだ本店が見え、何となく大きな建物の阪急に吸い込まれるも、ふと見渡すとガード下の飲食街が目に入いる。
東京で言うところの新橋にあるニュー新橋ビルのような、歴史を感じる天井が超低い佇まいの飲食街を発見!

行列の店はパスして更に先へ進むと、RPGのダンジョンを探索している気分だ。

ここで検索をして高評価の店を探すのは風情が台無しになる。自分の直感を信じドンドンと奥へと進んだ。
そしてなんとも落ち着きのある「串かつ」の看板が目に飛び込み、中を覗くとトラディショナルな立ち飲み屋、店名は初音。

ダンジョンの奥は日差しが入らず、時間が少々バグっている。
そして大阪に来た興奮を抑えながらも、メニューをゆっくりと眺め注文した。

「…ハイボール」。
余所者が大阪へ入った禊(みそぎ)として、内側からアルコール洗浄だ。

次のページほろ酔いでインテックス大阪に到着

二見勇治

著者:二見勇治 Futami Yuji

建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。