目を護るのも仕事!塗装工事と防護メガネ
ワイヤーが目に突き刺さる
先日恐ろしい話を聞いた。
ケレン作業中にワイヤーの欠片が目に刺さった。
塗装工事ではよくあることだから「ふーん」と聞いていたが、なんでもワイヤーカップから、ワイヤーが千切れ、横の壁に跳ね返って、目の真横から黒目に突き刺さった。
ワイヤーの破片は黒目の中に留まったものの、本人はあまり痛くなく、違和感を感じて眼科を診察した。
因みに黒目の中は痛覚が無いために、痛くないそうだ。
でも、聞いているだけで目が痛くなる。
塗装の作業において、目のトラブルは職人ならば誰もが必ず経験する。
筆者も職人時代には嫌というほど、作業中に目にゴミが入ったり、ケレンのカスが目に飛び込んだりと、塗装工事と目の問題は非常に多い。
また、高圧洗浄をすると必ず汚水が顔に滴り、それが目に入る。翌日には瞼の裏が、細菌感染し化膿することが日常的だ。
相当昔からゴーグルはつけていたが、汗で曇ったり、サイズがブカブカだったりと、フィット感に問題があり、大抵はすぐに着けるのをやめてしまう。
すると、狙っていたかのように目に異物が飛び込んでくる。
また、軒天井を塗装していると、避けているつもりでも風で飛散した塗料が舞い、これも目に入ってくる。
塗料も水性ならばまだ良いが、溶剤系が眼に入ると強烈な痛みが襲う。
ひと現場で誰かが必ず雄たけびを上げて、「目に入った!」という声が聞こえてくるだろう。
塗装工事は飛散物との戦いだ。そうなると自己防衛をするしかなく、ゴーグルや保護めがねは必須になってくる。
今回は、保護めがねの紹介と共に、法律や規則について説明を行いたい。
労働安全衛生法(厚生労働大臣)では、墜落制止用器具(フルハーネス)や防じんマスク・防毒マスクと保護帽(ヘルメット)等に決まりがあるものの、防護めがねにはその決まりがない。
しかし、労働安全衛生規則には保護めがねの必要性に関する条文がある。
以下規則が塗装工事に関係する項目だ。こちらを紹介したい。
※詳しくは労働安全衛生規則で要確認。
安衛則第105条
加工物等の飛来による危険の防止:保護具の使用を命じられた時には使用しなければならない。
安衛則第106条
切削屑の飛来などによる危険の防止:保護具の使用を命じられた時には使用しなければならない。
安衛則第593条
著しく暑熱又は寒冷な場所における業務、多量の高熱物体、低温物体又は有害物を取り扱う業務、有害な光線にさらされる業務、ガス、蒸気又は粉じんを発散する有害な場所における業務、病原体による汚染のおそれの著しい業務その他有害な業務に於いては、当該業務に従事する労働者に使用させるために、保護衣、保護めがね、呼吸法保護具等適当な保護具を備えなければならない。
安衛則第596条
第593条、に規定する保護具については同時に就業する労働者の人数と同数以上を備え、常時有効かつ清潔に保持しなければならない。
安衛則第597条
労働者の使用義務:第593条、に規定する業務に従事する労働者は事業者から必要な保護具の使用を命じられたときは当該保護具を使用しなければならない。
上記のように規則を理解するのも勿論執拗だが、どういったシーンや作業で防御するのかを
次のページでは、保護ゴーグルの動画を紹介する。
著者:二見勇治 Futami Yuji
建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。