ロールスロイスの上で天井塗装?自動車養生を考える
実話!超高級車の上で天井塗装
表題の通り、筆者は80年代後半、ロールス・ロイスの上で天井塗装をした事がある。
記憶を元に車種を調べてみると、コーニッシュⅡということが分った。
2ドアクーペで、この動画と同じクリーム色の車体。ロールス・ロイスとしては、かなり小柄な可愛らしい車だった事を記憶している。
当時の新車価格を調べてみると4500万円程、家が買える金額だ。
実家の塗装屋も長いこと事業をしていれば、施主が経営者であることも珍しくない。
現場は都内某所。戸建てのリフォームと共に、全体の塗り替えだったと憶えている。30年程前の事だから少し記憶が曖昧だが。
工事は終盤を迎え、残すはガレージ内の内壁と天井のみ。普段であればガレージ内の塗装は、停車している車を移動させないと仕事にはならない。何故なら脚立を立てるスペースが無いからだ。
また、この住宅でも工事の際は、できうる限り車輌は移動していただいたが、最後の上塗りは車輌を動かせる家主が不在。仕方が無くガレージ内に車がある状態での作業となった。
親方である父親に「お前がやれ」といわれ、超高級車の上で作業ができる又とないチャンスに、意気揚々と作業を始める。
当時はまだ十代、ものスゴイ馬鹿だった。今同じ事をやれといわれたら、絶対に断るだろう。もしミスっても、自分の立場を守ろうとする親父の腹黒さが今考えれば恐ろしい。
この現場はガレージが広く、2台の車両が止められる以上の広さだった。
そのうち一台は出かけ、ロールス・ロイスの左右に6尺の脚立も立てることは余裕。そして脚立の間に背板(足場板・道板)を渡せば「足場」が出来上がった。
しかもこの車には屋根が無い。足場板も思ったより低い位置に渡せる。
車輌には新し目の自動車用カバーをかぶせ、さらにその上には普段使っていない新品の布シートをかけた。
車をシートで覆う際、ロールス・ロイスのシンボル、エンブレムのフライング・レディ(正式名称:スピリット・オブ・エクスタシー)が脳裏に焼きついている。
そして、作業を始めると・・・
著者:二見勇治 Futami Yuji
建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。