凄く高く売れる
凄く高く売れる。それはDIYだ。
旧サイトではDIYのカテゴリーは、トップページ最下部のバナーにチョロっとだけであった。しかしリニューアル後はグローバルナビに入るほどの重要なポジションへと変更された。
更に旧サイトでは、一旦ニッペホームプロダクツへ飛んだ後にオンラインショップへと移る必要があったが、リニューアルしたサイトではグローバルナビからダイレクトにECサイトへの誘導に変更。
しかも、「ブランド」カテゴリーページでの商品紹介では、DIY用の塗料が最初に表示され、その後に自動車・マリン・建築の商品紹介となっている。
売りたい物を最初に載せる(見せる)のは当然だから、現在の日本ペイントHDの姿勢として、「DIYを物凄く重要なカテゴリー」と捉えているのだ。
販売戦略的に考えれば、BtoBは国内に限らず既に飽和状態。現状は「陣取り合戦」をしている状況なのだから急激な売上拡大は難しい。仮に変わったとしても、外的な要因の景気上昇などが起こらない限り売上は大きく改善しない。
それに比べて、DIYは新たなマーケットとしてBtoBとは別の市場として見込んでいる。既に日本ペイントHDは東南アジアでDIYの売れ行きが分っているからこそ、今回の戦略へと舵を切たのではないだろうか。
しかも国内のDIY系塗料は物凄く高く売れる。
とある塗料で考えてみたい。
我々のような建築塗装の業者ならば、一斗缶で5千円程の塗料がDIY用ともなると、同じ量で2万円の値付けで「普通に」売れる。
もとい、塗装業者でなくとも塗料販売店で買えば、だれでも5千円程度の塗料は買えるが、似たような塗料はDIY向けとなると2万円に化ける。
念のために言っておくが、あくまでも似ている感じの商品であって、同じ商品を売っているのではない!
もう一度いう、同じ商品では無い。あくまでも似ている商品だ!!!それが4倍で売れる。
こんな超美味しいマーケットを開拓しない手は無いだろう。一応形式的には子会社へ販売しているものの、ほぼ直売に近く、もしも粗利の割合を知ることが出来れば、皆が笑顔になること間違いは無い。
DIY目的で買う人はこの裏事情を知ったら苦笑いになるだろうが。
それくらいのパワーが実はDIY市場にはあり、50年前から始まった国内のDIYがやっと花咲き、メーカーの本気度合いがサイトリニューアルで示されたのだ。
4倍で売れるなら、塗料販売店の売上も4倍か?
著者:二見勇治 Futami Yuji
建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。