塗装道具探求 粘着テープ類がサックサクなハサミ
特殊コーティングのハサミ パーフェクトバリア
パーフェクトバリア解説のつづき
パーフェクトバリアなら、もうサックサク。
粘着剤も残らず、ハサミの開閉も超スムーズ。
よくある、激安のベタベタ布ガムだって、サクッと切れ、ハラリと刃離れ最高!
方やフッ素コーティングはどうしても刃にテープが絡んでくる。
刃にテープを貼ると、フッ素コーティングは持ち上がる、パーフェクトバリアはくっ付きもしない。
くっ付かない理由は、特殊コーティングが刃先まで施されているから。
メンテナンスは溶剤、アルコールなど厳禁。
溶剤は使わず、テープで汚れを取り除くのみ。
以上が、ALLEXパーフェクトバリアの説明だ。
特殊コーティングとは、つまり塗料。こんなところにも塗料が活躍しているとは、ペンキ屋にとって鼻が高い。
でも、この製品はコーティングあっての代物。コシ袋に他の工具とガチャガチャ入れるのは止めたほうがよさそうだ。
出来れば、専用のケースで腰に付けたい。
しかしこの製品は、ハードな使用に耐えられるかは不明。誰か人柱になって使って欲しい(笑)
因みに、林刃物には皮スキもラインナップしている。
以前の記事、塗装道具探求 皮スキメーカー Vol.1、塗装道具探求 皮スキメーカー Vol.2で林刃物の皮スキが紹介ができなかった。
なぜなら詳しい情報が、ネット上にはあまり無いからだ。
またALLEXの皮スキは「スクレーパー」と表示されていたり、明らかに皮スキなのに「ヘラ」と表記されている場合もある。
皮スキとスクレーパーを並べてみれば分かるが流石刃物の町、関市に拠点を構える林刃物。
クオリティーが高いのが良く分かる。
しかも殆どの皮スキに穴があり、セイフティーコードが付けられる仕様で安全性にも考慮している。
また、貫通型の打点部は小さいものの、それがかえって堅牢性に繋がる。
他のハンマー対応スクレーパーは打点部が大きく、少しズレて叩くと力点作用点の関係で溶接箇所が取れてしまう場合が多い。
その点、ALLEXの皮スキは、恐らく1枚モノを延長させ、その飛び出した鋼材がそのまま打点になっているようだ。
更に刃が途中で屈折しているタイプもあり、スレートの「縁切り」に都合が良いとのペンキ屋意見もある。
しかし林刃物は「硬派」なメーカーだけに、流通している絶対数が少なく、これらの製品がどこでも買えるかというと、そうではない。
品薄商法ではなく、良い製品を出してはいるものの、ニーズが上回っている。だから欠品が非常に多い(笑)
これは、宝探しだ!
更に補足解説すると、上記写真、上段中央の「革包丁型」のスクレーパーは日本にしかない。
つまり、日本の会社が企画してる製品であって、ホームセンターに転がっている、なんちゃってスクレーパーとは全く違う。
塗装道具探求 皮スキメーカー Vol.1で説明した、「皮スキが生まれた経緯」を踏襲している形状がその証だ。
また、Y型斜め刃も日本独自の製品。
しかし普通に買えないモノを、探して持つのがプロフェッショナルではないだろうか?
ALLEXブランドを見つけたら即買い。
最後に「この会社の製品、なんで大塚で売ってないんだろう?」と一瞬思った。
恐らく塗装業界よりも、他業界での売上が多く、我々ペンキ屋なんか考えないで良いのではないか?
頭を低くしてこう言いたい。
「ペンキ屋の工具を作ってもらえないでしょうか?」
©︎PaintBiz By 二見勇治
著者:二見勇治 Futami Yuji
建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。