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ENEOSとアイ・ロボティクス、ドローン塗装の有効性を根岸製油所内で確認

タンク補修の課題を機械化・遠隔化・自動化で解決へ

米国では120兆円を超えるインフラ法案が可決され、今後5年間における国内インフラの大幅な刷新を進めることが発表されるなど、先進国におけるインフラの老朽化と労働力不足は年々深刻度を増しております。
このような課題に対し、従来の仮設足場を利用する工法は引き続き有効であるものの、足場の組み立てにより工期が長くなることや高コスト化、台風・地震などによる倒壊・落下事故の危険性、高所作業エンジニアの不足などが指摘されております。そのため、高所作業をドローンやロボットに置き換えていくことは産業界を通した喫緊の課題であります。
この度、ENEOS株式会社株式会社アイ・ロボティクスは共同してドローンを利用した石油タンクの塗装を行い、アイ・ロボティクス特有技術による「ドローン壁面補修」(※1)の石油タンクにおける実用性を根岸製油所で検討いたしました。

画像:「ドローン壁面補修」(※1)の概要

■実証実験動画・概要
上空に静止させたドローンから電動ウインチで外壁吸着ロボットを吊り上げ、外壁吸着ロボットに特殊なデバイスを搭載して高圧洗浄や塗装を行っています。ドローンの挙動と電動ウインチの巻き上げスピード、吹付スピードや塗料の粘度等を、非常に高度なすり合わせ技術により精密制御しています。

■タンク補修の未来像
世界には25,000基以上の原油貯油タンクがあるとされ、経済産業省資源エネルギー庁の統計(※2)によると、国内には原油貯油タンクは500基以上あるとされています。半製品や燃料油のタンクも入れるとその数は10倍以上になるとされています。

また、さらに身近なところに目を向けると、福島第一原子力発電所の処理水のタンク(※3)は1000基を超えて拡張され続けており、この老朽化対策も非常に差し迫った状況となっています。

タンクのメンテナンスは世界の課題であり、機械化・遠隔化・自動化の市場規模も非常に大きいものと考えられます。

画像:ドローンタンク補修が自動で行われているイメージ図

■今後の取り組み
引き続きENEOSとの取り組みを続けるべく、国内の製油所での実証実験を計画しております。これらを経てさらなる最適化を進め、世界に先駆けてタンク補修の機械化・遠隔化・自動化を実現してまいります。

※1
「ドローン壁面補修」は株式会社アイ・ロボティクス、日本製鉄株式会社、日鉄テックスエンジ株式会社が共同で開発し共同で展開を進めている新技術です。
日本製鉄株式会社プレスリリース

※2
経済産業省資源エネルギー庁の統計

※3
東京電力ホールディングス 処理水ポータルサイト

■本件に関するお問い合わせ
株式会社アイ・ロボティクス
担当:経営企画 寺本
info@irobotics.co.jp
03-4405-5041

二見勇治

著者:二見勇治 Futami Yuji

建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。