簡単な道具だけでヘッドカット
改修工事で良くある作業。クラック補修やサッシ入れ替え、剥離した塗膜の補修などで、「タイル吹き、ヘッドカット仕上げ」を一部分だけ再生する事はよくある。
完璧に仕上げるなら、コンプレッサーと玉吹きガンでネタを吹き付け、そのあと半乾きでヘッドカットが必要だ。
面積が広いなら道具を全部用意しての作業だが、極一部分の補修となると砂骨ローラーで凹凸を付ける程度だろう。
しかし、どうしても砂骨ローラーの凹凸と、ヘッドカット仕上げは違う。
今回紹介する動画は、「玉吹きヘッドカット調」が手軽な道具でできる方法だ。
海外動画になるが、日本の考え方とは違う方法でヘッドカット調仕上げを行っている。
左官屋さんならばこういった方法も模様付け技術として知っているかもしれない。
しかし塗装屋だとどうしても凹凸の補修は、砂骨で下地をデコボコにし、その後に上塗りへとなるだけだろう。
動画を見れば非常に簡単だ。
(養生テープで亀甲模様を作っているが、それはそれで面白い)
如何だっただろうか?
玉吹き用のネタと、鏝、塗シンでヘッドカット調に仕上がるのであれば、コンプレッサは必要ないし、ガン器もいらない。
但し、玉吹きにはならないので、あくまでも「ヘッドカット仕上げ調」限定の部分補修で使える方法だ。
しかも乾燥に合わせ、コテをなするのは、ヘッドカットローラーを転がすより繊細で、押さえの強弱が微妙に行える。
乾燥時間に左右されず、ヘッドカットができるのであれば、作業時間を有効活用できるのではないだろうか。
海外の塗装動画は日本で行わない技術が多く、普段の仕事のヒントに繋がる事もあるだろう。
YouTubeにはこういった動画が多く、特にインド系の塗装業者のアプローチは面白い。
日本でもこういったデザイン性に富んだ「光の変化(時間)で変わる壁面」塗装工事を広められれば、壁紙に負けない意匠の表現ができる。
しかし同じ「塗る」仕事で左官屋とペンキ屋があるが、互いに仕事がシンクロして来た今、そろそろ協業の時代に入っているようにも思える。
©︎PaintBiz By 二見勇治
著者:二見勇治 Futami Yuji
建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。