ペイントビズ(PAINTBIZ)

【PBコラム】ウクライナでは今、ある目的のため屋根の上にペンキが塗られている

屋根に塗られた恐るべき意味

2022年2月24日、ロシアによるウクライナ全面侵略戦争を開始した。

ウクライナ各地にロシア軍が侵入するとともに、ウクライナの軍施設、インフラ施設の破壊のみに留まらず、多くの民間人が犠牲となり、幼い子供までもが殺害されているのは、連日の報道で既知のことだろう。
ペイントビズは建築塗装専門サイトであるため、塗装の側面からこの惨状を伝えたい。

タイトルにもあるとおり、ウクライナの各地の建物に現在「ある塗装」が施され、その塗装には恐るべき意味があった。
以下の写真がその塗装だ。

例:屋根に塗られたマーキング

現在のウクライナの戦闘では、ウクライナ人に扮したロシア側の破壊工作員が数多く侵入し、市街地で自軍の誘導を行っている。

工作員等は様々な活動を行い、そのひとつに空爆目標の建物を上空から識別する「マーキング」を建物屋上へ塗り、攻撃目標を設定しているのだ。
ウクライナ各地やキエフの建物では、これらのマーキングが数多く発見されはじめた。

この塗装による空爆目標のマーキングは、イギリス空軍とドイツ軍との過去の戦争で開発したとされて、現在ではレーザービーコンや、GPS誘導などのハイテク誘導方法などがある。

しかし、このローテクな塗装によるマーキングは上空からの視認性が高く、尚且つ短時間での作戦が行える方法として、ロシア軍の工作員が屋上に上がり塗装を行っているのだ。

キエフの行政は、市民へ建物屋上を確認し、マーキングを塗り潰すようにSNSなどを通じて呼びかけを行っている。

塗装は表面の保護を目的とし、「人々の暮らしを守る目的」として塗装屋は活動を行っている。
しかし、片や戦争では「人々の命を奪う目的」として、塗装や塗料が使用されしまう。
非常に残念としか言いようがない。

一刻も早くロシアの撤退と共に、ウクライナの平和を願いたい。

©︎PaintBiz By 二見勇治

二見勇治

著者:二見勇治 Futami Yuji

建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。