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塗装の現場とトイレとうんこ問題

施主との関係性でトイレも変わる

昨今、戸建の塗り替え工事では施主配慮の施策として、工事を行う住宅では「トイレを借りない」事がスタンダードになって来ているきらいがある。

実はこれには「お茶は出さなくていいですよ」、「トイレは借りませんよ」といった、戸建塗り替えの工事会社側の営業手法に問題があるのだはないだろうか?

人間は生きているのだから、食と排泄、そして仕事が等価だという前提が崩れている。

筆者が職人時代は、塗り替え工事の大部分が昔なじみのお得意さんであった関係で、気兼ねなくトイレが借りられた。
その関係は、10時と3時の一服の時、施主と職人とが縁側で語らう、古風なトラディショナルなスタイルだったのが大いに関係している。

お茶を頂きながら、現在の進捗を説明し、気になった箇所、例えば網戸が破れている事や下からは見えない場所が腐っている事などを伝えたり、施主が住宅で困っている事柄をヒアリングするなどで人間関係が構築され、施主宅のトイレも気兼ねなく借りられるようなお付き合いになるからだ。

しかし、現在では共働きによって現場の住宅は、日中不在になるケースもあり物理的にトイレは借りられない。
また、親会社の営業が取ってきた仕事を下請として施工するだけになれば、施主側も誰だか分からない塗装工に対して距離を取り、家に上がらせてトイレを貸すことも難しくなる。

そして、塗り替え塗装店の元請が仕事を取りたいがために、顧客ファーストを優先しすぎれば、前述の「トイレは・・・」、「お茶は・・・」へと繋がっていく。
人の”生と”しての大前提を後ろへ追いやり、仕事を取る方便へと変えた大罪は重い。

そうなると、塗り替え工事の場合は排便をドコかしらで行わなければならない。
小ならばポータブル型の小便器で可能だが、大は難しい。

更にコロナの影響でコンビニのトイレに至っても、使用不可の店舗が増えトイレ難民は益々苦しい状況へ追い込まれている。
その結果、職人の頭の中にはトイレマップが作られ、どこで排便できるかの情報蓄積が出来上がっていることだろう。

近頃では、それらの情報の蓄積、共有知をデジタル化し問題解決(ソリューション)が出来る時代になった。

そこでトイレの可視化が出来るアプリをご紹介したい。

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二見勇治

著者:二見勇治 Futami Yuji

建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。