ペイントビズ(PAINTBIZ)

Vol.1 建築塗装のYouTubeは今

クリス・ベリー氏の塗装会社と商圏

ペイント・ライフTVのクリス・ベリー氏はアイダホ州の州都ボイシ(現地の発音はボイシィー、ボイズィー)を拠点に、2003年からB&Kペインティングという塗装会社を妻のLisa Berry(リサ・ベリー)さんと共に興し、現在は多くのスタッフを抱え運営している。

アイダホ州のボイシは日本人にはあまり馴染みの無い都市で、米国北西部の主要都市、シアトル、オレゴン州ポートランドに次ぐ第3の都市だ。
しかし北西部3位というが、2位のポートランドと比べると極端に小さい。

アイダホは米国生産高No,1のジャガイ、モアイダホポテトで有名だが、ここボイシには世界的なハイテク産業のマイクロン・テクノロジの本社がある。
マイクロン社は現在世界トップの半導体メーカー。
日本産メモリー会社の雄であった、エルピーダメモリーを最終的に買収した会社として有名だ。

更にはB&Kペインティングの直ぐ近くには、ヒューレット・パッカードの大型工場も稼動し、農産物はもとより現在ではハイテク産業の街としての側面も持つ。
また、この町の発展形態は元々オレゴントレイル(米国開拓時代の主要道路)の沿線都市として発達した歴史ある街。
日本で言うところの東海道の宿場町のように街が形成された。

米国ではこういった地方都市の歴史的な街道筋には白人が多く、ボイシでは90%が白人という超保守的なエリアだ。
しかも米国の保守的なエリアではなぜか銃の規制が緩い。

アイダホ州はアラスカ、アーカンソー州に次ぐ全米3番目に銃の保有率の高い地域としても有名だ。
ウォルマート(日本のイオンみたいな)のスポーツコーナーですらガンコーナーがあり、ハンティング用のライフルから護身用のハンドガンまで様々な銃が陳列され、日本人が行くと度肝を抜かされる。

そもそも町を歩いている一般人の腰にも、ホルスターに納まっている拳銃を目にすることも珍しくない。
それでありながら全米屈指の治安の良さは、なんとも言えないアメリカの裏側がうかがい知れる不思議な街だ。

こういった背景からハイテク産業で潤うボイシの街は、アメリカ映画に出てくるようなアッパーミドル(中の上階級)の住宅が多く、戸建専門の塗装屋にとっては打って付けの商圏だろう。
ストリートビューを乗せておくので、客層を町並みから判断して欲しい。

予断だがストリートビューにも、アメリカらしく多くのピックアップトラックが映っている。
台数が多い理由は、任意保険や税金が安いからであって使い勝手が良いからではない。
日本で維持費を理由に軽自動車を選ぶように、米国では維持費のためにピックアップトラックという選択肢になっているだけだ。

道具の紹介や使い方のハウツーからはじまったペイント・ライフTVも、最近では塗装会社の運営だけではなく、グッズや塗装工具の通信販売や一般人を対象とした塗装の講習、プロ向けの塗装技術のコーチングまで行い、建築塗装を軸として新たなビジネス形態へ進展させている。

マッチョなペンキ屋のオヤジはなかなかのやり手だ。今後の動画や情報発信も見逃せない。

今回の記事はペイント・ライフTVの紹介を行ったが、Vol.2では国内の塗装会社のYouTubeを紹介。
次号、「Vol.2建築塗装のYouTubeは今」を楽しみに待っていて欲しい。

©︎PaintBiz By 二見勇治

前のページアメリカならではの塗装

二見勇治

著者:二見勇治 Futami Yuji

建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。