【PBコラム】ウクライナでは今、ある目的のため屋根の上にペンキが塗られている
屋根に塗られた恐るべき意味
2022年2月24日、ロシアによるウクライナ全面侵略戦争を開始した。
ウクライナ各地にロシア軍が侵入するとともに、ウクライナの軍施設、インフラ施設の破壊のみに留まらず、多くの民間人が犠牲となり、幼い子供までもが殺害されているのは、連日の報道で既知のことだろう。
ペイントビズは建築塗装専門サイトであるため、塗装の側面からこの惨状を伝えたい。
タイトルにもあるとおり、ウクライナの各地の建物に現在「ある塗装」が施され、その塗装には恐るべき意味があった。
以下の写真がその塗装だ。
現在のウクライナの戦闘では、ウクライナ人に扮したロシア側の破壊工作員が数多く侵入し、市街地で自軍の誘導を行っている。
工作員等は様々な活動を行い、そのひとつに空爆目標の建物を上空から識別する「マーキング」を建物屋上へ塗り、攻撃目標を設定しているのだ。
ウクライナ各地やキエフの建物では、これらのマーキングが数多く発見されはじめた。
https://youtu.be/zwXzehLbL1Q
この塗装による空爆目標のマーキングは、イギリス空軍とドイツ軍との過去の戦争で開発したとされて、現在ではレーザービーコンや、GPS誘導などのハイテク誘導方法などがある。
しかし、このローテクな塗装によるマーキングは上空からの視認性が高く、尚且つ短時間での作戦が行える方法として、ロシア軍の工作員が屋上に上がり塗装を行っているのだ。
キエフの行政は、市民へ建物屋上を確認し、マーキングを塗り潰すようにSNSなどを通じて呼びかけを行っている。
#ウクライナ 首都キエフの市長は、破壊工作員の集団がキエフ市内で活動中だとして市民に警戒を呼び掛けた。 pic.twitter.com/xhwL3Dsj1x
— ロイター (@ReutersJapan) February 27, 2022
塗装は表面の保護を目的とし、「人々の暮らしを守る目的」として塗装屋は活動を行っている。
しかし、片や戦争では「人々の命を奪う目的」として、塗装や塗料が使用されしまう。
非常に残念としか言いようがない。
一刻も早くロシアの撤退と共に、ウクライナの平和を願いたい。
©︎PaintBiz By 二見勇治
著者:二見勇治 Futami Yuji
建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。