ローラーハンドル開発&プラ製バケットの生みの親?
PBフタミ
小出さんにローラーハンドルを見せていただき、重野さんへ連絡しました。
あの針金で出来たローラーハンドルの経緯を教えてください。
重野
もう、ずいぶん昔からだよ。2000年ころから自作しだしたんだ。
最初は4インチから始めたんだ。
PBフタミ
ミニローラー用のローラーハンドルというか、針金は3mmのものでしょうか?
重野
そう、3mmの針金。
素材は、今はステンレス。
でも、以前は色々な素材を試したね。真鍮は使えるけど、アルミは柔らか過ぎてダメだった。でも、ミドル用の6mm芯のローラーハンドルから自作してたよ。
PBフタミ
小出さんから、色々な塗装道具を自作しているはなしを伺いました。
マスカーも自作してるっていう話ですが本当ですか?
重野
マスカーも自作してるよ。
農ポリをカットして、10cmとか20cmとかの狭いマスカーを作ってる。
農ポリにラッカーテープを巻きつける「巻取り機」を自作して作ってるんだ。
右巻き、左巻き、どっちでもできるよ。
昔はラッカーテープ(紙テープ)のマスカーが無くて、自分で作り始めたのが切欠だね。
PBフタミ
あと、何でもプラ製のバケットが出来たのも、重野さんが絡んでいるとお聞きしましたが本当ですか?
重野
当時はプラのバケットが無くって、あるとき知り合いの塗料販売店が「大塚刷毛の会議に出るから何かアイデアはないかな?」なんって話しがあったんだよ。
当時はプラ製のものは、丸い普通のバケツしかなくて、それで自分がプラのバケットを考えて、絵を描いて渡したんだ。
その後直ぐに、ブリキで出来た試作品を見せてもらって、そのあとに今使われているバケットが出来上がったよ。
それで製品が出来上がったお礼として、ミドルのローラー1ケース貰ったよ。
今考えたら、特許とか取れば良かったよね(笑)
PBフタミ
現在でも塗装されているんですか?
(本人の名誉のために年齢は非公開)
重野
今でも現役で塗装工事してるよ。
PBフタミ
今日は良いお話が聞けて、大変参考になりました。ありがとうございました。
今後も面白いアイデアに期待しています。
重野
こちらこそ、ありがとう。
以上が重野さんとの会話となる。
こういった人目に触れぬ先人達に支えられているのが日本の技術だ。今回、重野さんに出会えたご縁を感謝したい。
しかし、各メーカーから「こらこら、ローラーハンドルが売れなくなるじゃないか!」と、お叱りの声が出そうではあるが、この自作ローラーハンドルはあくまでも極狭の隙間、ハンドルを握ると手が入らないような場所を塗るために開発された。
また、様々な角度に曲げられるため、くの字ではなく垂直のローラーとしても使える。使い方は自由自在だ。
しかし長時間の作業となると、普通のハンドルのほうが作業性は良いだろう。
塗装工にとっては、いざと言う時の秘密兵器的役割が「針金ローラーハンドル」ではないだろうか。
下に実物の「重野式ローラーハンドル」を紹介する動画を掲載した。
是非とも動画へアクセスし、どの程度使えるモノか確認をしてほしい。
協力:ライフリフォーム
作業:小出賢次
ハンドル製作:重野久夫
©︎PaintBiz By 二見勇治
著者:二見勇治 Futami Yuji
建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。