塗り替え、塗装工事の届出をしないと罰則
全ての塗装工事が届出が必要かというと、自治体ごとや条件が違うために何ともいえない。
殆どの自治体では、エリアごとに区分けを行っている。
その後に、建築物の大きさや高さ、延べ床、容積率などによって届け出の有無がある。
低いと2Mの擁壁ですら、届出が必要で、だいたい15M以上の高い建築物には、塗装の際「届け出が必要」と考えて良いだろう。
※これも自治体ごとに違うから要注意!
参考に東京都三鷹市の「届出制度による三鷹市の景観づくり(PDF)」を見てみたい。
※引用:届出制度による三鷹市の景観づくり
濃い色のところが「重点地区」となっている。
ストリートビューで「牟礼の里重点地区」(上の地図、右上赤色のエリア)を見たが、何て事の無い住宅街。
地理的には、「住みたい町で全国1位」を連覇していた吉祥寺から南へ歩いて25分。
自動車だと8分の距離。
なんとこの普通の住宅街での塗り替え工事は「全て、届出が必要」。
「ちょっと嘘だろう?」という感想だ。
下の表、上から三段目<建築物>の行の一番右の欄に「全ての建築物」とある。
全て届出が要るという訳ではないが、こういったエリアも隠れているので要注意!
では届出が必要な地域で、届出をしないとどうなるか?
(上画像、一番下の行に書いてあるが…)
景観法を抜粋する。
① 届出(法第 16 条第 1 項,第 2 項)
景観計画区域内において,届出対象行為をしようとする者は,あらかじめ,国土交通省令で定めるところにより,行為の種類,場所,設計又は施行方法,着手予定日その他国土交通省令で定める事項を景観行政団体の長に届け出なければならない。
届出をせず,又は虚偽の届出をした者に対する罰則(法第 102 条第 1 項)法第16条第1項又は第2項の規定に違反して,届出をせず,又は虚偽の届出をした者は,30 万円以下の罰金に処する。
② 工事の着手の制限(法第 18 条第 1 項)
この届出をした者は,景観行政団体がその届出を受理した日から 30 日を経過した後でなければ,当該届出に係る行為(根切り工事及び山留め工事に係るものを除く。)に着手してはならない。
③ 行為の着手の制限の期間短縮(法第 18 条第2項)
景観行政団体の長は,第 16 条第1項又は第2項の規定による届出に係る行為について,良好な景観の形成に支障を及ぼすおそれがないと認めるときは,行為の着手の制限の期間を短縮することができる。
要約
1、自治体に届けろ。届出しないで工事(塗装)したら30万円以下の罰金な!
2、届出した後、30日経たないと工事しちゃダメ。
3、申請すれば30日経たなくても工事できるかも。
どうだろう。
もう塗装工事は全て、自治体の「景観計画」を見なければ仕事が出来なくなるのではないだろうか?
会社のある拠点から、複数の自治体のエリアで工事をしているペンキ屋だと、それ毎に調べなければならず超面倒。
でもやらないとマズイぞ!
今回、景観法についてザックリとした記事化を行った。
しかし、自治体毎に内容が全く違えば、名称すらも「景観計画」だったり「景観ガイドライン」、「景観条例」と異なる。
恐らく住民ですらも知らない場合があるから、この「景観法」はペンキ屋にとっては非常に重要だ。
建設業法もそうだが、「知らなかった」では済まない事が塗装屋には多くある。
毎日がペンキ屋の勉強だ。
©︎PaintBiz By 二見勇治
著者:二見勇治 Futami Yuji
建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。