もう一度高耐候めっき鋼板の解説
前回の「サビ 亜鉛いっぱい塗料→高耐候めっき塗料 前編」では、昔からあるジンクリッチペイントの概要から始めさせていただいた。
そしてサビを制御する方法の「亜鉛と鉄との関係」、トタン屋根などで多く使われていた「溶融亜鉛めっき」から最新の「高耐候めっき」までを紹介。
最後に「高耐候めっき」の再塗装の難題があり、そこで前編の文を締めた。
今回はその続きとして「サビ 亜鉛いっぱい塗料→高耐候めっき塗料 後編」として高耐候めっきの塗料&塗装をお届けする。
高耐候めっき鋼板が出てきた理由については前編を参照して欲しい。
2000年以降、様々な高耐候めっき鋼板が登場し、現在国内ので新設される鉄製構造物の多くに使用されている。
特に日本製鉄のZAM(ザム)という金属表面加工鋼材が非常に多くの場所で採用され、そのムーブメントは急速に拡大している。
※「ZAM」は、日本製鉄株式会社の登録商標。
ZAM鋼板で検索すれば分かるが、使用されている製品の多さに驚くはずだ。
そして前編でもお伝えしているが、あたらめてZAMの組成について触れ、そこから高耐候めっきの塗料を紹介したい。
ZAMの解説
日新製鋼が開発した製品。Znに6%Al+3%Mgの各元素を加えた合金をめっき。
通常のガルタイトに比べて、5-8倍の耐食性を持つとされる。
特に高塩分環境下での耐食性に優れる。
現在は「Plus」というラインナップで、艶なしや事前にリン酸塩処理され塗装可能な鋼板も登場。
亜鉛鋼板系特有のシルバー色だけでなく黒色も追加。
高耐候めっき鋼板のシェア率80%を誇る。
しかし、ZAMがいくら優れた鋼板でも、溶接を行うと、溶接箇所は表面加工が溶けてしまう。
表面加工が取れてしまえばただの鉄だ。
更には縞鋼板などもZAM鋼板を使われている。そうなれば歩行による擦れがおこり、いずれは表面加工が剥がれる。
また、いくら強い表面加工でも必ず劣化が起こり、再塗装が必要になってくる。
そこで、高耐候めっき用の塗料が必要になってくる。
では、どの塗料を選ぶかになるのだが、厳密に選ぶと高耐候めっき用の塗料は、選択肢として1種類しかない。
著者:二見勇治 Futami Yuji
建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。