ニッペのCMで時代を感じる
テレビCMは時代の鏡だ。
しかし一定の期間が過ぎると放映されない。
今回は、過去の塗料メーカーのTVコマーシャルを掲載する。
著作権的な考えでは「他者の著作物を無断で使用、公表することは権利の侵害」にあたる。
但し、転載する動画は、あくまでも「建築塗装業界」の時代考証の資料としての引用として掲載する。
また建築塗装メディアとして、塗料メーカー、塗料販売店、塗装工事会社の関係者へ伝える時代考証と報道を目的として、公益性を重んじ掲載したい。
先ずは、日本ペイントのCMで時代考証したい。
https://youtu.be/XngtLKN50n0
色をドミノに見立て、ドミノが崩れることによって別の色を表現している。
最近の人だと「ドミノ」って何?ピザ屋?という印象だが、40年ほど前はTV番組で「ドミノ倒し」だけで2時間番組が作られ、年に何度もそのスペシャル企画が放送される、視聴率の稼げる特番だったのだ。
そのため、当時人気のあった「ドミノ倒し」をTVCMに採用したのだろう。ドミノを並べるだけで相当な予算を使っていたことが容易に想像ができる。
また、一瞬だけ映る車は恐らくアウディ200の2世代目ではないだろうか。当時外車では、BMWよりもアウディはお洒落で少し尖ったイメージがあった。そういった差別化だったのか、それともアウディへ塗料供給を行っていたのかは定かではない。
次も日本ペイントCM。こちらは1983年と明記されていた。
このCMは色の表現方法として、音を色と対峙させイメージ化を行っている。また、ここでも同じように自動車が出ている。
この車種はブリスターフェンダーの形状から、アウディのクワトロ1のように見えるが実車ではない。
光の反射で模型だと分かる。(ぼったりとしているので、実車ではない)
そしてリアスポイラーが無い。そしてエンブレムを黒で塗りつぶしている。
模型をモデラーに作らせ、並べたのだ。
当時タミヤから1/24で初代クワトロの模型が発売されていたため、それを並べ屋外で撮影したのだろう。
(スポラーがあると大衆的でない時代だったから、リアウイングを撤去。修正をしている。)
次の動画も日本ペイントだが、こちらは現在のニッペホームプロダクツ株式会社(1995年設立)へ分社化する前の、DIYブランド「ニッペホームペイント」の動画だ。
この動画は、日本を塗料缶で埋め尽くし、会社の存在感をアピールしている。
動画の最後に出てくる看板は今でもどこかの塗料販売店にあるのだろうか?
ニッペの昔のCMは全体的なイメージとして、抽象的な表現で映像化されているように思える。それとも、今回見つけた動画だけが、抽象的表現だったのかは不明だ。
最近では多部未華子出演のCMや、グローバル広告では積極的に人物を使っているイメージがある。
では、次のページ、関西ペイントの昔のTVCMを紹介したい。
著者:二見勇治 Futami Yuji
建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。