シリコン止めて!っていつも言っているのに
シリコーンを見たときの悲しさ
もう何度言ったことか。電気屋さんと屋根板金屋さん達へ。
現場も終盤、3時の一服中に知り合いの電気屋さんと談笑したあと、彼はエアコンの取り付けが終わり、夕方前に「お先で~す」と陽気に帰っていった。
翌日、エアコンのホース周りを見た時に、「しまった!ヤラれた!」と、ペンキ屋はワナワナと震え、足場の上で一人頭を抱える。
そう、エアコンホース周りに「シリコン」がたっぷりと、そして乱雑に塗られていたのだ。しかももう硬化している。
このときのヤルセナイ気持ちは塗装工事業者ならば分かるだろう。
電気屋さんだけではなく、屋根板金屋さんもシリコンを多様する業者が多い。特に棟板金などの止水にシリコンを使う。
しかし冒頭の様な事例よりも、何年も前に既にシリコンを打たれている場合が非常に多い。
はっきりいって、電気工事の資格取得に「シリコンを打つときは塗装業者がいる場合には必ず相談せよ」という試験問題を作って欲しいくらいだ。
それくらいペンキ屋VSシリコーン問題は根が深い。
筆者の記憶では1980年代後半ペンキ屋の丁稚をしていた時、親方のオヤジが一人で何か叫んでいたから、もう30年以上もの間この戦いは続いている。
塗り替えの時にシリコンを見つけると、塗装工事業者は殆ど全員悲しくなる。
有線TVの配線工事跡にグッチャグチャのシリコンが塗られているのを発見すると、足場の上で発狂している職人も少なくない。
酷いケースでは、電気屋さんが手に付いたシリコーンを拭い取るために、外壁に擦り付けている箇所を見たことがある。しかもリシンの壁にだ。
また良くあることだが、施主が既にDIYでクラック補修を行い、シリコンをべったりと打ってしまっている時には、塗装屋は諦めと言うか悟りのような心境に陥る。
因みに「逆プライマー」を塗れば良いと思うかもしれないが、そもそも逆プライマーは可塑剤を止める下塗り材であって、シリコンと塗膜との密着力を高める目的の塗料ではない。
ではどうしたら良いのだろう?
今回紹介する製品は、シャープ化学工業株式会社から発売されている、シリコーン上に塗装ができるシリコンカバーNBという製品。
早速動画で施工方法をチェックしよう。
シャープ化学工業はシーリングなどを作っている専門メーカーだけに、当然シリコンコーキングへも技術も高い。
そのシールメーカーが作るのだから、意味のある製品ではないだろうか。
最後にもう一度だけ言う。
電気屋さん、屋根屋さん、シリコンではなく変成シリコーンにしてください!
©︎PaintBiz By 二見勇治
著者:二見勇治 Futami Yuji
建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。