ペイントビズ(PAINTBIZ)

塗装ローラーはどうやって作られるのか?

不要な毛をカット

圧入の後には不要な毛を刈り揃え、検品へと工程が移る。

下の動画ではローラーがグルグル回りながら刈り揃えるために毛をカットしている。

最後にローラーが山となってテーブルへ置かれ、目視での検品作業だ。

この動画の面白い部分は、ほんの一瞬だがインド系かスリランカ系の人が映り込んでいる。
恐らく、この工場へ見学に来た海外の会社のスタッフか、インド系社会と中国企業を繋げるブローカー的な人物ではないだろうか。

実は筆者も2012年の反日暴動前までは、親戚が営んでいる貿易ビジネスの手伝いで、良く中国へ行き、現地の製造会社へ頻繁に訪問していた。
様々な工場で、アメリカ系、ヨーロッパ系、中東系などのバイヤー達と遭遇した。(塗装系ではない別業種のBtoB商品)

最初に中国へ行ったのは1998年、青島(チンタオ)の工場へ、日雇いのバイトの立場で日本から「たった1人」で赴き、日本側検品員として「ぬいぐるみ」を検品しに行った。

その当時、青島は強烈な大気汚染で光化学スモッグが町中を被い、スチームパンクの世界さながら。
旧市街地のレンガ作りの路地という路地には、暇人がたむろし、旧共産主義の名残で働かなくとも何とかなったような中国の最後の風情と共に工業と退廃した町はデストピアだった。
ロス暴動の数ヵ月後に訪れた、サウスセントラルに似た空気感に、たじろいだ記憶がある。

バイトながら何故か接待で田舎っぽい女の子がいるカラオケ屋に連れて行ってもらい、その催しの最後は皆でチークダンスを踊るという、微笑ましい感じだった。
その十数年後、上海のカラオケは、超美形の女子が室内に並び、皆が「俺はコレ!」という風俗に変わった。話はチンタオに戻る

バイトで行ったものの、ぬいぐるみ検品は出来なかった。何故ならパーツを作っている下請会社の生産の遅れていたからだ。
そこで、発注側(日雇いバイト)として仕方が無く下請けのパーツメーカーへ怒鳴り込み(生産遅れの弁解を聞くため)に行き、最終的に刃型の「焼入れの技術指導」をするという、何の仕事をしに行ったのかが分からなくなるような海外出張だった。

こんな話しは置いておき、昔の中国では機械加工の技術は低かったが、今ではそれなりの水準まで技術が向上している。
今回の塗装ローラーだけではなく、様々な塗装用品が海外で生産されている。

しかし、こういった動画は出会うチャンスが無いであろう事から、ペイントビズが記事化を行った。
是非とも塗装工事の「ネタ」として参考にして欲しい。

次回は、今回のような機械を製造しているメーカーを紹介したい。
そちらはもっとハイテクな製造風景で今の中国を表現している。

©︎PaintBiz By 二見勇治

前のページ塗装ローラーを切りそろえ端の処理

二見勇治

著者:二見勇治 Futami Yuji

建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。