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塗装道具探求 皮スキメーカー Vol.2

質実剛健1000年の歴史

「塗装道具探求 皮スキメーカー Vol.2」で最後に紹介するメーカーは、大阪にある株式会社 源邑光 北野刃物製作所(以後:北野刃物)だ。

社名:株式会社 源邑光 北野刃物製作所
ブランド名:源邑光(ミナモトノムラミツ)
住所:大阪府東大阪市岸田堂西2丁目8-12
創業:1906年(明治39年)

河内国にある皮スキメーカーと説明したとおり。大阪府東大阪に拠点を置く会社だ。

東大阪市は国内の工場密度日本1位を誇る、日本有数の工業地域。
市内の製造品出荷額も1兆円を超える。

源流は河内鋳物師(かわちいもじ)と呼ばれる金属鋳造の技術者集団から歴史を刻んでいる。
活動の最盛期は平安時代後半から室町時代前半で、日本各地に先進的な鋳造技術を広めた。

燕三条へ金属加工を伝えたのも河内鋳物師だった。

その1000年近い歴史の地に拠点を置くのが、北野刃物ということになる。

北野刃物の特徴はVol.1でもお伝えしたとおり、その原点にある。

昭和35年(1960年) 牛革をなめす道具が塗装用に改良され、「皮スキ」として使われるようになった。※当時の刃物は切れすぎていたため。
全鋼で製作し、全国に広がりヒット商品となる
昭和35年(1960年) 6月 3代目 北野 修司が代表取締役に就任。従来の皮スキを改良し、「Y型皮スキ」が誕生する。
引用:株式会社 源邑光 北野刃物製作所 会社案内 ごあいさつ

北野刃物は内外装の工事業者向けの製品のみを製作しているメーカーだ。
製品一覧を見れば分かるが、兎に角ユーザーが欲しがっている製品を製作している。

また、OEMの供給元としての考え方についても竹を割った表記で、作り手と企画・販売元とを明確に表示している。
こういう姿勢は非常に大事ではないだろうか。誰が作って、誰が売っているのかが分かりやすい。

皮スキの傾向として、ラインナップは少ないものの質実剛健、硬派な製品が光る。

画像引用:株式会社 源邑光 北野刃物製作所 製品一覧/ケレン

ハンマー付きの皮スキでは、現在販売されている製品の中で一番大きなハンマーだろう。
しかもブレードにはスカルマークが施され、男心をくすぐる。

特徴のある皮スキでは、特に株式会社尾崎亀商店が企画・販売、北野刃物が製造している皮スキに目を見張る。

刃の片側にローラーが扱ける窪みがあり、スモールローラーがシゴけるサイズに最適化されているのだ。

画像引用:株式会社尾崎亀商店

よく海外製品のRが付いている皮スキ(スクレーパー)はジャンボ(レギュラー)ローラーでしか、その窪みは有効に活用できない。
日本の現場に対応しているのが、北野刃物制作の「しごき皮スキ」だ。ネタ場に常備したい逸品だ。

動画でも確認できるのでYouTubeを掲載する。

以上、Vol.2でも様々な皮スキメーカーを紹介した。

次のページでは、これらメーカーを調査したことにより判った事柄を掲載したい。

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二見勇治

著者:二見勇治 Futami Yuji

建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。