一物多価の問題
4倍で買う人がいるのなら、その売価で捌きたい。
コロナムーブメントによってマスクが超高値になったのは周知の事実だが、塗料も売り方によっては超高値で買う人達がいる。
時流や場所、求めている人が欲しいのならば高値でも売れる。震災時にはおにぎりだってありえない値段で売った輩がいるとか、いないとか。
但し、人道的に超高値で売るのは心が痛むのではないだろうか?
マスクですら暴利を貪る転売ヤーに誰しも良い印象を持っていなかったはず。これは今回のニッペの事を言っているのではない。
そもそもホームセンターで売っている塗料の値段がべらぼうに高いのは、建築塗装関係者ならば誰でも知っている。電動工具を考えてみると、ホームセンターだからといって、倍以上するだろうか?逆に街の金物店の方が高いかもしれない。
それがどうだろう?いざ塗料となると「似たような商品」が使う人が本職かDIYユーザーかで、似たような塗料が別のパッケージになり、別の価格へ変化する。更にホームセンターでは塗料について詳しく説明できるスタッフはいないが、塗料販売店ならばユーザーの状況に応じて商品説明や工法を伝えることの出来るスタッフがいる。
何年か前に日本塗料商業組合では塗料販売店の取り組みとして、「入りやすい塗料ショップ」の施策を打ち出していたが、今回のニッペの取り組みからも分るように、各販売店が本気になって取り組んでも良い時期が今ではないだろうか?
今回、日本ペイントHDのサイトリニューアルによって、販売戦略の変化が分ったことは大きな収穫だ。「DIYユーザー」の動向によってビジネスチャンスが大きく変貌するタイミングに入っていることが確実なものになった。
塗料メーカーだけではなく、売る側や工事をする側もDIYユーザーに対しての取り組みが実現すれば、そこには新しいフェーズが訪れることは間違いないだろう。
最後になるが、サイトのデザイン面にも触れたい。
トップページのメインビジュアルは、流体の物理演算を用いたパーティクルでCG映像が制作され、「塗料を表現」。東京都千代田区にあるチームラボ株式会社がサイト制作を行った。
©︎PaintBiz By 二見勇治
著者:二見勇治 Futami Yuji
建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。