ペイントビズ(PAINTBIZ)

昔の技法と今の技術とのギャップ

2020.11.13

昔の技術、建築塗装のハート

こういう塗装技法がある。と、いうか「あった」。

今ではほとんど現場で使われない、ロストテクノジーだ。
まるで、「移動手段として、馬に乗る方法」のように時代とマッチしていない。
ダービーに出ていたサラブレッドが勇退し、体験乗馬をしている哀愁がある。

現役ならば刷毛も痩せ、擦り切れていれば刷毛目も消えていただろう。

勿論基礎として知っていれば、技能のベースラインの極一部としては役に立つが、核心部ではない。

しかし職人の技巧には感心する。あくまでも昔の技術としての前程だが。

特にドア塗装では、「美しく早い」か?と、問われれば、「今はもっと、美しく早い塗装技術」が技量に左右されず簡単に出来る。

ゆっくりと鰯とか鯖の魚油が、魚焼グリルのニオイを放ちながら遅く凝固するのならば、刷毛目が歪むギラギラとした平滑がもたらされるかも知れない。
乾燥の時間と仕事の時間との辻褄を求めたのが、昔と今の建築塗装の大きな違いではないだろうか?

そこから現在進行形で、「金を生み出す技術として売れるか?」と聞かれれば、「殆ど無いけど、もしかしたら、もしかしたら誰かが買ってくれるかもしれない。」としか言いようが無い。

 

技術を否定しているのではなく、今の時代この技法による仕上がりと、時間的な工賃を施主が許すだろうか?
カセットテープやフロッピーディスクへの保存は過去になり、クラウドに自動保存し共有できる今と比べられるのだろうか?
視聴者の心の内で考えてみて欲しい。

遊びではなく仕事として、誰しも塗装へ挑んでいるはずだ。

映像に映っている技術は、もしかしたらリアルタイムの現場では非効率かもしれない。
しかし、当時その技術を求めた職への姿勢と同じように、それは今も職人の中に息づき、最新の塗装技法へチャレンジしている事に代りは無い。

この動画は、塗装技術の動画ではなく「建築塗装のハートを伝える」ものと考えれば、合点があう。

二見勇治

著者:二見勇治 Futami Yuji

企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。