ペイントビズ(PAINTBIZ)

【Webインタビュー】ターナー色彩株式会社 ラバーペイント

塗装工事会社として胸を張れる仕上がり

施工会社インタビュー
施工会社:有限会社コートシステム・ヒラヤ(長野県松本市)
工事解説:平谷 操 代表取締役会長

先ず、今回の施工についての説明の前に、工事の背景からお話しいたします。
実は受注した工事ではなく、弊社側から行政に申し出を行い、奉仕として塗装工事をさせていただきました。
弊社は「地域へ貢献する企業」としての方針があります。
そのため現在までに公園の遊具など、65箇所でボランティア塗装を行ってきました。
今回の工事もその一環として、自ら野球場のラバーフェンスの塗り替えを申し出ました。

通常、行政の塗装工事は入札によって、選出された工事会社が施工を行います。
弊社も常日頃、入札を経て公共物の塗装工事を行っています。
元請、下請、様々な立場で公共事業の塗装工事に関わっています。

代表的な工事では2018年、長野県上高地の名所、河童橋の鉄部塗装(下請受注)。2019年の重要文化財旧松本高等学校などの塗り替え工事(元請)を行わせていただきました。

写真:コートシステム・ヒラヤ 上高地河童橋施工風景

行政の工事では殆んどが「仕様」として塗料や工法がある程度固められていますが、今回は弊社自ら申し出た「奉仕塗装」のため、塗料の選定や工法はわたし達が選んだ工法で施工を行わせていただきました。
但し、一般企業の工場やビル・店舗、一般住宅などの塗装工事では、弊社が工法と塗料を選別していますので、通常の取り組みと同じような仕事の進め方です。

今回の塗装工事に当たって、実はラバーフェンスの表皮へ別の塗料を何度も試行錯誤しテストをしていました。
お恥ずかしいはなし、はじめは防水塗料でどうにかなるんじゃないかと考えてたくらいです。
しかし、様々な見地から意見を聞く必要があると思い、高野連の公式審判員を行っている方へ話しを伺うと
「公式試合では試合中にボールに塗料の塗膜や色が付いてしまうと、新しいボールへ交換しなくてはいけない。」とのこと。

そこで、普段お付き合いしている塗料販売店の犬飼塗料株式会社(長野県松本市)さんへ相談をしたところ、ラバーペイントを勧めて頂き工事に至りました。

この塗料で驚いた事は、専用プライマーの溶剤がアルコールだったことです。
そして上塗り塗料もあまり粘度が無く「これで本当に仕上がるんだろうか?」と思ったほどでした。


写真提供:(有)コートシステム・ヒラヤ 
写真撮影:赤羽真也

施工したラバーフェンスの被塗面は、非常に細かいヘアクラックがびっしりと全面にあり、劣化としてかなり酷い状況でした。
今までの経験で考えると、ヘアクラックは塗った瞬間はクラックが消えますが、塗料が乾くと必ず亀裂が元に戻ってしまいます。しかも、何度塗ってもヘアクラックは塗料だけでは消えません。

テスト箇所へラバーペイントの上塗り1回目を施したところ「あれ?クラックが消えるかもしれない。」と思え、塗り重ねると見事にヘアクラックまでも埋まってしまいました。
ラバーペイントの仕上がりは非常に驚きました。

弊社の奉仕塗装は通常2月に行っています。
長野県松本市では冬季は気温が非常に低いため、ご注文頂いた工事がなかなか行えないからです。
しかしそんな気温の中であっても、ラバーペイントの乾燥時間は非常に速くこの部分も驚きました。

下塗り1回・上塗り3回でラバーフェンスは新品のように蘇り、塗装工事会社として「胸を張れる仕上がりと工事品質」に満足しています。


写真提供:(有)コートシステム・ヒラヤ 
写真撮影:赤羽真也

以上が施工会社のインタビューだ。
最後になるが、あらためてターナー色彩という会社をご紹介したい。

水彩やアクリル絵の具の知名度では、国内トップクラスのメジャーメーカーだが、建築用の塗料ではラインアップもそれほど多くは無い。
しかし、近年DIY塗料のミルクペイントや今回取材した「ラバーパイント」など一風変わった商品が注目を集めている

また、絵画やアートの絵の具のトップメーカーとしての技術蓄積により、色彩の厳格化が各商品に反映している。
そのため、今話題のエイジング塗料のシェアではトップクラスのメーカーでもある

今後はそのジャンルでも是非とも取材を行っていきたい。

今回はラバーペイントの紹介をさせていただいた。
この塗料は特殊塗料ではあるがポテンシャルは高く、この先の使用用途は更に広がっていきそうだ。

©︎PaintBiz By 二見勇治

前のページ過去に一世を風靡したターナー色彩の塗料

二見勇治

著者:二見勇治 Futami Yuji

建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。