ペイントビズ(PAINTBIZ)

【Webインタビュー】ターナー色彩株式会社 ラバーペイント

エスカレーターの塗装を数時間で仕上げる?

ターナー色彩西村氏
はい。
ラバーペイントシリーズの中でYN1000という、耐摩耗性に優れるグレードがあり、それをエスカレーター用ハンドレール塗料として転用するために2015年に大阪のスーパーとか、パチンコ屋さんで試験塗装をさせていただき好評を得ました。
その後、2019年からエスカレーターメーカーさんと共同開発を行い、その年に某鉄道会社さんのエスカレーターへの施工を行っています。
おかげさまで今年もご注文を頂き、ハンドレールの塗装を行いました。


写真:ターナー色彩株式会社
エスカレーターのハンドレールへラバーペイントを塗装

PBフタミ
施工の方法はどのように行うんでしょうか?

ターナー色彩西村氏
先ず表面の研磨を行い、溶剤や洗剤で洗浄して、それが下地処理になります。その上に柔らかいスポンジでYN1000を塗っていきます。

PBフタミ
それは、エスカレーターを止めて、露出している部分を塗って、一晩乾かしてからまた翌日塗装できていない箇所を塗るでしょうか?

ターナー色彩西村氏
いやいや、そんな工事の進め方は出来ません。
駅構内ですから、終電が終わり始発が出る前に仕上げなければいけないんです。

PBフタミ
えっ?数時間しかないですよね?

ターナー色彩西村氏
そうです、4時間しかありません。
いつも時期的に寒い中での施工になってしまうのですが、エスカレーターを止めて露出しているハンドレール片面の下地処理を行ってから、スポンジやウエスのようなもので薄く塗布し、3回塗り重ねます。
それも10分間隔で塗装します。その後に、エスカレーターを始動させてハンドレールを反転させて同じ作業を行います。

PBフタミ
そんなに薄膜でも丈夫なんでしょうか?

ターナー色彩西村氏
エスカレーターの駆動ローラーで押さえても、キズが入ったり、剥離したりはしません。非常に丈夫です。

PBフタミ
しかも、短時間の乾燥ですよね?

ターナー色彩西村氏
だいたい10分で上塗りが出来ます。短時間で乾かないとダメなんですよ。

PBフタミ
水系の塗料でそれだけ乾燥時間が早いということは、相当アルコールが沢山入っているんですか?

ターナー色彩西村氏
あまり、アルコールはいれていません。
樹脂の性質として水を抱き込むのはなく、吐き出す性質があり、薄膜で塗布することによって水が離れ、乾燥が速くなります。
例えばウエスやスポンジでの塗布ではなく、吹き付けで塗装をする場合は、希釈の水を多く入れないと、吹いているミスト自体が粉になるくらい乾燥が速いんです。
そのため、寒い冬場であってもアルコールを沢山入れずに短時間で乾燥します。

PBフタミ
何%まで希釈できるのでしょうか?

ターナー色彩西村氏
エスカレーターでウエスやスポンジでの塗布の場合はほとんど希釈しません。
薄く、薄く塗って、終電車と始発の間に仕上げるために希釈はしません。

ラバーペイントは製品名にはなっていますが、色々な種類があります。
その中でカスタマイズも対応しています。今回のエスカレーター用の製品も多少、アレンジさせていただきました

PBフタミ
いま、ラバーペイントの用途として「ラバーフェンス」と「エスカレーターのハンドレール」が上がっていますが、他にも工業製品用としてどういう用途がありますか?

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二見勇治

著者:二見勇治 Futami Yuji

建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。