大荒れ?静観?様々な意見
大塚刷毛の営業マンに対応したのは、東京都大田区の佐々木塗料の経営者であり、ペイントビズのメンバーであるPBササキだ。
「佐々木塗料の店舗へ直に説明に来た」とPBササキはいう。
彼等の会話を要約し、掲載を行いたい。
因みにペイントビズの佐々木は、ネット黎明期より塗料や副資材の販売をオンラインで開始し、国内塗料販売のECサイト化の先駆けだ。
その点を考慮して、かなり早期の段階で挨拶に来たのではないだろうか。
上記の書面を手渡した後に、説明が始まった。
大塚刷毛営業マン
「大塚刷毛と塗料販売店の繋がりは非常に強く、弊社がメーカーとして販売できるのも、ひとえに販売店の皆さんの力によるところです。
今回、このような話しでたいへん恐縮ですが、是非ともご理解いただきたいと考えています。」
佐々木塗料PBササキ
「メーカーがネットで直販しだしたら、販売店・特約店の意味がなくなりますよ!
いままで、長い年月付き合って来たのにこんな紙っぺら一枚で、それをひっくり返すんですか?
聞きますが、なんでネット販売で、直販なんですか?」
大塚刷毛営業マン
「実は…こんな時代ですから、ネットで検索して、会社のほうへ塗装業者以外のお客様から問い合わせがあります。
その際、お近くの販売店を紹介するのですが、初めてのお取引や一般の方、他業種の方へ売って頂けない特約店があるんです。
今回の施策は、そういったお客様への販売窓口としてネット通販をはじめるに至りました。
佐々木塗料PBササキ
「え~それはおかしく無い?
だって、ウチもそうだけど、既にネットで販売している会社なんて世の中にゴマンとあるじゃん。
そういったECサイトを紹介すれば良いんじゃないですか!」
大塚刷毛営業マン
「そうなんですが…
弊社としましては、多くの特約店との関係がありますから、1社だけをご紹介する訳にはいかないんです。」
中略・・・
佐々木塗料PBササキ
「・・・
まー分かりました。そういう時代ですし・・・」
ココで話しは終わり、PBフタミへPBササキから連絡が来た。
PBフタミ
「これ、マズくないですか?アスクルの事例って知ってます?
アスクルはローカルの文房具店とエージェントとしての契約をしたら、そこに入れない小さな文房具店がバタバタ潰れて…
だから街中の文房具店がなくなっちゃたんですよ。」
刷毛とローラー、その他って言っていますが、そのうち取り扱っている商材全部をネット通販に投入しますよ多分。
だって、直販したら粗利が大きいから、売上げ上がるし、絶対に欲が出てコノ商品も、アノ商品もって、次から次へアイテム増やして、気が付けば全商品ECサイトの出来上がり!」
そうなると、建築塗装中心にやっている塗料店は、副資材の販売を大塚刷毛のECに持っていかれて、数年後には塗料の販売しかなくなる感じじゃないですかね~」
PBササキ
「大塚刷毛の商品はマジでそうなるかも。でも副資材は大塚刷毛だけじゃないから何ともいえないけど…」
その後、様々な意見を求めるべく、PBフタミは別の塗料店へコンタクトを取った。
某塗料販売店営業マン
「はははっ?何言ってるの~?大塚刷毛のオンライン受注のシステムの話し?」
PBフタミ
「違う違う、そのシステムあるの知ってるから。それ特約店と大塚刷毛の受発注システムでしょ?
そうじゃなくって、大塚刷毛の自社販売ECサイト。」
某塗料販売店営業マン
「またまた~フタミさん、吹かしじゃないの~?」
PBフタミ
「だ・か・ら、違うって、一般にも販売する、大塚刷毛の自社ECサイトですよ!」
某塗料販売店営業マン
「それ、マジのはなし?本当だったらヤバイじゃん。」
「えーどうなるのそれ!」
「副資材売れなくなるじゃん!」
PBフタミ
「ただ、出来てみないと何とも言えないから…
大塚刷毛からそのうち連絡来るんで、待つしかないっすね。
でも、あんまり大げさに考えないで、一時静観するしかないんじゃないですか。」
某塗料販売店営業マン
「まーそうでしょうね。大塚刷毛の営業マン待ちか…」
塗料販売店関係者の反応は、考えていたとおりだった。
しかし、更に多くの意見を聞くべく、中堅塗料問屋(販売店ではなく本当の問屋)の経営陣にメールで確認を取ると、次の意見が帰ってきた。
某塗料問屋経営陣からのメール
「大塚さんも死活問題でのECサイトということで、むしろ遅いくらいだったと思います。
当然、我々には大きなダメージになりますが、時代の流れということで受け入れたうえで、弊社も新しい方向へかじを切らないといけないと考えてます。
我々も色々な伝手を使い、いろいろな方と手を結び、仕事をとってこないといけません。
幅広い知識・技術・ノウハウを身に付けたうえで、仕事を取って行かなければと切実に感じました。」
非常にポジティブな考え方で、一旦ヒートアップした筆者の考えを戒めていただいた。
そう、大塚刷毛のECサイトは本当に遅いくらいだ。
大塚刷毛はメーカーという立場もあるが、商社というポジションもある。
例えば住友商事がモノタローをはじめたように、商社であるならば今流のオンラインビジネスへ傾倒しても何らおかしくない。
実は5月14日の午前中にPBササキから今回の一報を受け、本来であれば速報として記事化を行おうと考えていた。
しかし、きちんと整理をして取り組む内容であったため、約10日間熟考を重ね、筆を取ることにした。
そして、5月20日ペイントビズはトンでもない物を発見してしまった。
著者:二見勇治 Futami Yuji
建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。