ペイントビズ(PAINTBIZ)

サビ 亜鉛いっぱい塗料→高耐候めっき塗料 前編

錆びないテクノロジーと塗料

昔の単管パイプは良く錆びた。

でも今のは錆びない。

理由としては、2000年以降「高耐候めっき」が多く使われ始めたからだ。
※足場再生(クリーニング)の亜鉛ブラストで再生されている事も裏では行われている。
高耐候めっきは亜鉛、アルミニウム、マグネシウム等が含有する、防食めっきとしての「亜鉛めっき」、「ガルバリウム」などから派生した金属表面加工方法。

ガルバリウム鋼板は通称「ガルバ」として知られ、1972年に米国のベスレヘム・スチールが開発したアルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板の名称だ。

「亜鉛めっき」と「ガルバ」は何が違うの?と、誰しも思う。

要は「鉄の代わりに腐食(犠牲に)させる亜鉛と一緒にアルミを入れたら、短期間で朽ちなくなったけど、鉄も錆びなかった。

じゃーもっと他の金属入れちゃえば?」といった感じ。
最初は亜鉛のみの「亜鉛めっき」から亜鉛とアルミニウムの「ガルバ」。さらにそこからドンドンと通電する別の異金属を入れていき、現在主流の「高耐候めっき」となった。

時系列で超ザックリと並べると、亜鉛めっき→ガルバ→ガルファン(神戸製鉄所)→ガルタイト→高耐候めっき、となる。(2021年までの系譜)

最後尾の「高耐候めっき」の代表格は、2000年に日本製鉄(旧日新製鉄)から発売されたZAM(ザム)という鋼材だ。
※1997年に工業生産化に成功。「ZAM」は、日本製鉄株式会社の登録商標。

優れた耐食性
ZAM®の耐食性は、亜鉛めっき鋼板に比べ10~20倍※1、
亜鉛-5%アルミニウム合金めっき鋼板に比べ5~8倍※2優れています。
※1 ※2 当社塩水噴霧試験による。
引用:日本製鉄

この、金属表面加工の「高耐食めっき」ZAM(ザム)の出現は、日本の鉄製工業製品の部材選別を大きく変えてしまうほどの強烈なイノベーションだ。

2014年の調査では、高耐候めっきのシェア80%と、ほぼ寡占状態。

2021年現在、この鋼材が使用されている場所は高速道路の遮音・暴風壁。街中の電柱、信号機。自動車部品。工業製品。
太陽光発電モジュールの架台、鉄橋、駐輪場、住宅構造材など、限が無いくらいに普及しまくっている。

詳しくは日本製鉄ZAMのブランドサイトを見ると、その利用種別の多さに驚くだろう。

今では鉄製品の加工業界では「ZAM材」や「ZAM鋼板」と呼ばれるほどに浸透し、日本の鉄製インフラを変える勢いで使われまくっている。

他にも似たような製品はあるが、ZAMほどは使われてはいないものの、亜鉛、アルミニウム、マグネシウムなどの含有量を知るために以下に掲載をする。

ZAM(ザム)
日新製鋼が開発した製品。Znに6%Al+3%Mgの各元素を加えた合金をめっき。
通常のガルタイトに比べて、5-8倍の耐食性を持つとされる。
特に高塩分環境下での耐食性に優れる。独特のキラキラした表面が外見上の特徴。

スーパーダイマ(SuperDyma=SD)
新日本製鐵(現在の新日鐵住金)が開発した製品。
Znに11%Al+3%Mg+若干の珪素 (Si) の各元素を加えた合金をめっき。
ほぼGL並みの耐食性を有するとされる。

エコガル
JFE鋼板が開発した製品。通常のガルタイトに微量のMg+ニッケル (Ni) を加えた合金をめっき。
引用:Wikipedia ガルタイト

これらが「高耐候めっき」といわれている製品になるのだが、問題があった。
この鋼材で製品を作る際の溶接箇所の再塗装や、経年後の改修方法として実は塗料に大きな問題があった。

あーやっと、塗料が出てきた。

実はココまで解説しないと下地を伝えられなく、この後に紹介する塗料の凄さが見えてこない。

これから我々が多く塗装するであろう、「高耐候めっき」を塗装する側の、下地への考えのための「基礎知識」として許してほしい。

それでは、高耐候めっきの塗料&塗装を伝えたい。

でも今回はここで終わり、次回につづく。

後編:サビ 亜鉛いっぱい塗料→高耐候めっき塗料(MAZAX)後編

©︎PaintBiz By 二見勇治

前のページ昔の単管パイプは錆びた

二見勇治

著者:二見勇治 Futami Yuji

建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。