ペイントビズ(PAINTBIZ)

建築塗装とサッカー Jリーグ

メインスポンサーと塗料メーカー

日産の公表では”2021年3月期連結決算の業績予想6150億円の赤字”とのこと。
今期の国内自動車メーカー勢で最大の赤字といわれ、株価が劇下がりししている。

こういった事情のさなか、日産が子会社のサッカークラブを抱えることや、横浜国際総合競技場のネーミングライツ”日産スタジアム”の使用料が支払えるのであろうか?

横浜FMでは20年前に「踏み込んではいけない領域」へ関わった経緯があるため、サッカー関係者やサポーター達は気が気ではないはず。

そしてこの状況下へ追い討ちをかけるように、「日本政府は、2030年代半ばに国内新車販売の全てを電気自動車のみとする目標を出す。」と、2020年12月初旬に情報が流れた。
諸外国では既に2035年、内燃機エンジン禁止のという動向へ進んでおり、日本政府もそれに追従する施策を取るといわれている。

しかし国の施策は最終的には総理大臣のGOサインによる決断が必要だが、日産のグローバル本社がある神奈川2区、横浜市西区他は菅首相の地盤だ。
国が公的資金を日産自動車へ投入するのでは?という噂も現実味を帯びてきた。

撮影:二見勇治 撮影地:日産スタジアムゴール裏 モデル:後呂康人

なんだか複雑になってきたが、更にもう一つのトピックスとして以下のような情報も出てきた。

”テスラが既存自動車メーカーの友好的買収を検討中とイーロン・マスク氏”
引用:TechCrunch Japan 2020年12月02日

もう何がなんだか分らなく混沌化している。

因みにJリーグでは、海外企業がクラブの株式過半数取得を禁しする規約がある。
そのため外資はトップパートナーにはなれないのだ。

また、企業がクラブチームをスポンサードするメリットとして税制上の効果が高い。

子会社への出資ならば「損金」として計上出来る他、オフィシャルスポンサーの場合は広告宣伝費としてこちらも経費として認められる。
日産ならばマリノスへの出資は損金としてあつかわれ、地元の企業で小口のスポンサーは広告宣伝費として経費扱いになるのだ。

例えば神奈川県の横須賀に拠点を置く、塗料商社の荻野化成株式会社もマリノスの「オフィシャルスポンサー」になっている。
Jリーグのオフィシャルスポンサーは地元企業が多く、商工会の繋がりやクラブチームからの営業を切欠としてスポンサーを請けている。

また、BtoBメインの会社では広告宣伝費に対して経費を使う用途がないため、節税目的でクラブチームへのスポンサーを行ったりもする。
どうせ税金で持っていかれるならスポンサーとして経費を使い、更にオマケで年間シートもゲットできれば、得意先や社員に対して観戦チケットをプレゼントできる一挙両得だ。

しかも、法人スポンサーのパーティーなんかもあり、有名選手たちとテーブルを囲み飲み食いできたりもする。
何の記事かわからなくなってきたので、話を元にもどす。

更にはマリノスのトップパートナー(日産に継ぐ出資額の多い会社)として、塗料メーカと関係が深い会社も関わっている。

そう、マネーフォワード社である。
聞いたことがあるかも知れないが、マネーフォワード社とは個人と法人向けの金融系のWebサービスを提供している会社だ。
個人向けでは会計ソフトの進化系でアプリなどを使って財テクを管理するほか、法人では勤怠・会計・請求などにも対応したWebサービスを行っている。

この会社、塗料と何の関係も無いように思えるが、実は深いつながりがある。

なんと、日本ペイントHDの田中正明社長がマネーフォワードの社外取締役に就任しているのだ。

ニッペの田中社長は、時系列としてはマネーフォワードの社外取締役の職についた後、ニッペの取締役代表になっている。
面白い事もあるものだ。

このように塗装や塗料関連の会社がJリーグへのスポンサードを行っている訳だが、建築塗装の会社が関わったJリーグの問題も忘れてはいけない。

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二見勇治

著者:二見勇治 Futami Yuji

建築塗装アナリスト
企画・取材・撮影・動画清作・ライティング・マーケティング 担当
東京都出身。建築塗装業の長男として生を受け、多くの職人達の中で育つ。塗装職人と造園職人の修行を積んだ後、カメラマンへ転身。出版社カメラマンを経て2001年よりフリーカメラマン。
雑誌・書籍・広告撮影、塗装関連の写真・動画制作、リフォーム会社広告担当を経験。
建築塗装の新たな表現を模索中。